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少女

よる8時過ぎ。娘を迎えに地下鉄の駅まで歩いていった。家から駅までは15分ほど。もう少し涼しければ夏の夜の散歩も風情があるが、せっかく引いた汗がダバダバと出て来てまったく不快だった。夏のバカンス(という言い方がなんだか泣けてくる。二泊三日に後片付けの一日を足したたった四日間なのだから)を終えて仕事が始まった私たち夫婦だけ醍醐に戻り、娘は妹夫婦が面倒を見てくれるというので実家において来たのだ。一人っ子の彼女は、毎年、六つ下の甥っ子と八つ下の姪っ子(彼女にとったら両方「いとこ」だ)の面倒を見るゴッコに夢中になる。「自分が主役ではない切なさ」と「誰かから頼りにされる誇らしさ」と「年下のものを導く全能感」と。彼女はそんな濃い感情に翻弄されながらもその感情のストリームに身を置く事を選択する。実際そんなに楽しそうでもないし、嫌そうでもないし、なんというか、ただハイな状態の彼女を見てると、「大丈夫か?」と心配になるぐらいだ。我が家の中では感じる事がすくないだろうそのような感情は、勿論、学校や学童でも味わっているであろうけれど、その濃度が多分違うのだろう。

「八時十六分に醍醐駅に到着する」と妹から連絡を受けていた。自転車置き場に到着したのがそのぐらいの時間になり、地下への降り口から、娘が乗っていたであろう電車から降りらしき人たちが、わらわらと上って来ていた。私は、娘と行き違いにならないようにすれ違う人の顔をキョロキョロとみながら階段を下りた。改札階に降りると、そこにはもう、ひと気がなかった。背後や辺りを見回してみても娘の姿はない。どうしたのだろうか?一人で家路についたのだろうか?とちょっと不安になりかけた頃に、30メートルほど向こう側の階段から娘が降りて来た。
私は安心してため息をついた。近くまで歩いて来た娘は既に半泣きだった。
小学校五年生。
その複雑さはこれから更に増していくのだろう。と思った。

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