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父親というのは大きな子供である。

台風が過ぎたあとの海はとっても波が高かった。
夏のバカンスで海に行くのは毎年恒例となっているけれど、実は海に行きたいのは私だけなのだ。娘は海よりもプールのほうが好きだし、妻は海や山と言った自然よりは都会を愛する人だから。海の写真を撮ってSNSにあげると、一時間もしない間に「家族サービスお疲れさま!」等というコメントを寄せてもらった。しかしこれは家族サービスではないのだ。むしろ家族たちが私の「こうあるべき夏」につき合ってくれた結果なのだ。

おそらくだけれど来年からは海に行く事もないように思う。それはつまり「海水浴」というイベントが私の人生から無くなるという事を意味している。少しの誇張を許してもらえるならばそれは私にとって「身が裂かれる」ような思いだ。住み慣れた家をはなれるような。食べ慣れた料理をもう二度と口にする事ができないというような。
とはいえ、これ以上妻や娘に「海水浴への同行」を強いる事はできそうにない。妻は数年来「私は海水浴は嫌いだ」と公言しており、この夏、娘も「海は嫌だ」と表明したのだから。(おそらく娘も今年海がきらいになったわけではなくて、もともと嫌いだったけれど言えなかっただけだ。と考える方が自然だろう)

今日の夕方、京都の自宅に戻った。花瓶のバラの花は全部枯れていた。私は自問してみた。「それでも行くか?たった一人で海水浴に?」
答えるまでもない。行くわけがない。私は明日で四十四歳になる。
悲しくなった。涙がこぼれかけた。歳を取るという事は子供の頃から苦手だった。今でもそうだ。
冷蔵庫を開けたがビールはなかった。白ワインの瓶が一本だけ入っていたがそれは妻のだった。ビーチサンダルを履いてビールを買いにコンビニへと向った。
五十歳になったら一人で海水浴に行ってみようと思った。

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