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無理はいけない。

朝八時。気温こそまだ上がり切ってはいないものの肌を差す日差しは既にシリアスだった。この三連休、私は昨日が休みになり、今日と明日の祝日の二日間は出勤になった。平日は朝六時から出勤せねばならないのだけれど日曜日だけは事情が違う。社員食堂や、朝食を届ける企業の寮や、老人ホームが営業をしていないので、それほど早く出勤する必要がないのだ。
今日も八時半にタイムカードを押せば遊に間に合う仕事内容だった。ゆっくり寝て、コーヒーをのみ、新聞を読んでから出勤できるのはありがたいが、この熱さは五時半頃と違う。バイクに股がった私のフルフェイスのヘルメットの中はもう汗でべちゃべちゃだった。勧修寺の近くの交差点で、目の前の信号が赤になり、私はブレーキレバーを握ってスクーターを停めた。歩道に五メートルおきぐらいで植えられているプラタナスの影に入る。気持ちの問題かもしれないけれど直射日光があたらないだけでも随分とましに感じた。私の左側にすっと自転車が入って来て、私と同じ木の陰で止まった。自転車のハンドルに肘をつくようにしてもう既にへばっているのは男子高校生だ。半袖のカッターシャツと細かいチェックのズボンの制服。多分部活の練習にでもいくのだろう。彼の体全体から「うんざりだ」というメッセージが発散されている。
私は心の中で「がんばりや」といい、また「無理したらあかんで」といった。目の前の信号が青に変わって私がエンジンを吹かして走り出すと、男の子は「今起きた」というぐらいの緩慢な動作で上体をあげて自転車を漕ぎ始めた。彼の姿が原付のミラーの中、小さくなっていった。

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