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十人十色

日曜日だ。七日に一度はやってくる、と人の言う日曜日だ。私はその言を信用していないが多くの人に取ってそれは真実であるようだ。そうか。
朝食は家族三人で食べた。そのあと妻と子供は義母の(妻に取っては実母だ)墓参りに出かけていった。義母は創価学会員で、琵琶湖のほとりにある学会員さんたち用の合同墓地にお骨を入れてもらったのだ。生前の義母の学会での役職、肩書きがどうだったのかはわからないけれど、死んで義母は「名誉婦人部長」になった。亡くなって階級が上がるのは警察や軍隊と同じで、であれば義母は創価学会に殉死したということになるのだろう。
妻たちが出かけた後、私はずっと机の前に座ってパソコンで作業をした。もう来週に迫っている「耳で楽しむ古事記」のテキストの編集だ。リーディング公演、つまり字の書いてある紙を持ってそれを読む出し物なので、その「紙」の下準備はキモにあたる部分なのだ。基本的には古事記の書き下し文と現代語訳を交互に読み進めることになる。現代語訳は小説家の橘雪子が担当しているとはいえ、俳優自身で調べなければならない事も勿論少なくない。ある箇所で「あかね」という表記があった。「あかね色」とは実際どんな色だったろうか?と私は不安になった。夕日の色?だとしたらオレンジ色なのか?いやもっと「朱」に近いイメージがあるが…。あかね色がどんな色だったか?それを詳しく知らずしてこの文章を読んでいいものか?(いやよくない)私は何でもかんでもパソコンに頼るのは良くないと思うタイプの人間だが、これは広辞苑を引く案件ではない。ブラウザを立ち上げて検索窓に「あかね」とひらがなで打ち込んだ。Google先生は間髪置かずに「あかね」に関しての記述があるサイトを列挙してくれる。しかしそれらのリストにあたってみるまでもないだろう。検索窓の下の選択ボタンは「すべて」になっている。私は「画像」を選択した。
次の瞬間画面いっぱいにずらりと「あかね」という名前の女性の顔写真が並んだ。
そらそうだな。私がバカだった。

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