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怒りの原因

「北海道以外は梅雨入りをした」というのが昨日だか一昨日だかのニュースになっていた。クーラーが苦手な体質の私にとって厄介な季節がやってきた。晴れてさえいてくれれば真夏だって配送車の窓を開け放って機嫌良く運転している私も、雨が降っている以上どうしても窓を閉め切って運転しなければならない。窓から自然の風が入ってくるのであれば私はいくら暑くても大丈夫だ。水をがぶがぶ飲んで汗をかいて、それが気化して体温を下げているという事もあるだろう。ただ梅雨時のじめじめした車内で窓を閉め切るとこれはどうにもいけない。頭がぼーっとしてくる。もちろんそれでは危険だからクーラーをかける事になる。そして肩が凝って頭がいたくなる…。
今日は午後になって空に晴れ間が広がった。たすかったとばかりに私は運転席と助手席の窓を開けて開放感に浸りながら午後の業務にいそしんだ。午後の仕事は主に食べ終わられたお弁当の回収だ。企業や学校、工場や幼稚園。いろんな所に出入りをさせてもらえる事は単純に楽しい。京都中央卸売市場の第一市場は千本通を挟んで東と西、五条通と七条通りの間にある。東の方が野菜を、西の方は魚を扱っている。東の方の八百屋さんの何件かもうちのお客さんだ。人もまばらなになった午後の野菜の卸売り市場。速度を緩めて車で敷地に入っていくと、怒声が聞こえた。男の人の声だった。その怒声の元となる場所はちょうど壁の向こう側になっていて私からは確認できなかったが、声のトーンはかなり興奮しているように聞こえた。それが「怒声」であることは間違いなさそうなのだけれどもはっきりとは、何と言っているのか聞き取れない。怒声の主は、それぐらい感情も滑舌もコントロール出来ていない状態にあるらしい。気は進まなかったが私は車の前進を続けた。このまま進むとその壁を横切って壁の裏側に出る。つまり「怒っている男」と「怒られている誰か」を見る事になる。できればそうせずに済ませたかった。しかしここで止まって男の怒りが収まるのを待つわけにもいかないのだ。そろりそろりと車を前に出した。あわせて怒声は大きく、男の言葉の内容も少しだけはっきりとしてきた。ちなみに「私には野次馬根性がない」と主張したいわけではない。むしろ逆だ。私は野次馬根性の固まりみたいなものだ。加えて「いっちょ噛み」で「ええかっこしい」だ。今まで何度となくまったくの赤の他人の喧嘩に「ちょちょちょ、やめときって。な?」などと頼まれもしない仲裁に入っては、最終的に私を含む関係者全員が釈然としない気持ちになると言う体験をしてきた。(幸い、なぐられたりしたことはないが)なので、できることなら近寄りたくなかった。いうなればねずみ取りのエサの誘惑を遠ざけようとするネズミの心境だ。しかしネズミは進まなくてはならない。誘惑に負けたからではなくて仕事だから。
壁が運転席の真横に来てそれを通り過ぎた。荷台がからっぽのターレー(市場の乗り物)に乗った私と同い年ぐらいの男が顔を真っ赤にしている。血走った目は目の前の初老の男に向けられていた。その初老の老人もターレーに乗ってそちらの荷台には数個、段ボールを乗っていた。怒っている男が吠えた。
「だぁかぁらぁああ!」
この人は自分の怒っている声で、余計に自分の怒りに油を注ぐようなシステムを使う人だという事はわかった。
「ズッキーニや!おらぁ!」
この人は何故怒っているのかは私には全くわからなかった。

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