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耳で楽しむ古事記~上巻連続上演~ 稽古中

京都芸術センターについたのは十四時ちょうどぐらいだった。平日に比べれば土曜日の昼間は俄然、芸術センターを訪れる人が多いようで駐輪場も混雑している。私はエンジンを切ってバイクを押しながら空いているスペースを探した。十四時から稽古を始める約束を広田ゆうみさんとしていたので若干の遅刻だ。あせりながら自転車と自転車の間の狭い隙間にバイクを停めた。そこからまっすぐ奥に向かって歩くと運動場に出る。サッカーのコートよりは少し狭いぐらいの運動場で、それぞれ三階建ての北館と南館に挟まれている。普段は何も無い平らなグラウンドだが今日は中央にテニスのネットが張られていた。石灰で引いたコートで男女混成ダブルスの試合中だった。コート脇のベンチにも何人かテニスウエアを着た人が座って談笑しながら試合を観戦している。彼らは僕よりも総じて年齢が上に見える。平均年齢にしたら五十歳ぐらいだろうかと思う。ネット越しに行き交うボールは基本的に山なりで、でも時折矢のようなスマッシュが土のグラウンドにつきさるから見ているこっちはその度はっとさせられる。京都芸術センターは元明倫小学校、つまり古い小学校をリノベーションした施設だ。地元の方々に愛された小学校は姿を変えた今でも地域のサークルや運動会にも使われている。晴れた土曜日の昼間はちょうど良いテニス日和なのだろう。
私はグラウンドの端から北館の三階を見上げた。制作室8の窓にカーテンかかっていた。昨夜は私が利用していて、帰る時におそらくカーテンは開いていたはずだ。ということはゆうみさんはもう来て制作室にいらっしゃるに違いない。冷や汗をかきながら急いで私は三階へと向かった。

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