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新聞をめぐる感情

電話口の向こうの申し訳なさそうな声の主は女性だった。少し年配の方のように思える。枯れているわけではないけれど少なくとも「ハリのある声」とは言えない。よほどの加虐趣味でなければ、ことさら大きな声で怒鳴りつけようなどとは思えない相手だ。しかしひょっとするとそれこそ向こうの作戦なのかもしれない。この弱々しいけれど誠意のある、何より申し訳なさそうな声の主は「クレームに対する謝罪要員」として雇われているのでは?私はそんな可能性も考えながら、とはいえ特段怒っているわけではなかった。
一昨日、帰宅した私の顏を見るなり妻は「新聞の集金に来たので払っておいた」と言った。おかしな話だ。クレジットカードで支払う手続きをしていたはずだ。京都新聞を購読し始めたのは2ヶ月と半月ほど前。夕食どきに妻が「オリンピックって、ピョンヤンでやってるんやね・・・」と呟いたのがきっかけだ。ネットで申し込むと早速次の日販売店の人の良さそうなおじさんがやって来た。最初の3ヶ月無料とクレジット払いで、パパっと話はついた。はずだった。販売店に電話をすると「クレジットカードの情報を統括してる部署から連絡が来てません」「申し込み用紙があるので書き込んで投函してください」と言った。その電話で更に私は確信を深めた。
「あのー。それ僕出したと思うんですけど」
「いや、うちには降りて来てませんねえ」
あくる日の朝刊と一緒に書き込み用紙が投函され、私はそれに書き込み朝一でポストに投函した。
が、どうにもやっぱり引っかかる。その日の昼休みに京都新聞に電話をした。事情を説明すると「調べてみる、担当者が今不在で少し時間がかかるが折り返し電話をする」と丁寧に対応してくれた。冒頭の「弱々しい声の女性」から電話がかかって来たのはその日の夕方だった。
結局、私はやはりクレジットカード払いを申し込み済みで、販売店と京都新聞の連絡に不備があったのだという。
「二度とこんなことがないように・・・」
「店長の方も大変反省しておりまして・・・」
「お詫びに伺わせていただきたいのですが・・・」

洗剤とかタオルとか映画のタダ券が頭の中にチラつかなかった、というと嘘になる。むしろチラついたからこそ、よくわからない見栄もあり、「来てもらわなくても結構です。大したことじゃありませんから」と電話を切った。切ってからちょっと後悔した。
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