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図書館

私は選んだDVD二個をもってカウンターへと向かった。図書館でDVDやビデオを置いているのは知っていたけれど貸し出しもしているのだとは知らなかった。てっきり館内でのみ視聴が可能な物だろうと思い込んでいたのだ。カウンターには二人司書の方がいて、奥の方に座っていた年配の女性と先に目が合った。私が彼女の所にDVDを持って行こうとした矢先に、手前に座っていた若い(おそらく二十代前半だろう)女性が「どうぞ」と私に声をかけた。私は足を止めた。そして「年配の女性」と「若い女性」を見比べた。若い女性はこの時点でやっと「私が奥の女性の方へ行きかけていたこと」に気がついたのだろう。「お好きな方へどうぞ」と言った。これは私としては困ってしまう。若い女性も深い意味も無くとっさに言った言葉なのだろうけれど…。
「いや、そう言う言い方をすると『どっちが良いのか選べ。』ってことになりますよ」
と、冗談めかして私が言うと、カウンターの女性たちは二人とも笑ってくれてことなきをえた。私は奥の年配の女性の所に行き、持っていたDVDを渡し「予約していた本が届いた」とメールが送られて来た旨を告げ、更に借りていた二冊本をカウンターの上に置いた。
「少々お待ちください」といって彼女は作業に取りかかる。DVDのカバーを外し、返却した本のバーコードを読み取り、立ち上がって、私が予約していた資料を取りに奥の書架の方へ歩いていった。考えてみれば彼女たちは私がどんな本を読み、どんな映画を見たのかをつぶさに知ることのできる立場にあるわけだ。かなわないなぁ。
「五月二十八日が返却日です」
一冊の本を手に戻って来た彼女は笑顔でそう言った。私は礼を言って本とDVDを受け取りリュックに入れて図書館を後にした。

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