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昼ご飯

滋賀からの帰り、車は長い下り坂に差し掛かった。私は左足でクラッチバーを踏み込み、左手でシフトレバーを三速に入れ、右足でアクセルを足してから、左足を床から上げクラッチを繋いだ。保冷車は「うーん」という音を立て減速していく。去年の末に廃業した同業の会社(お弁当、給食配食の会社)から譲り受けた保冷車は、近くで見るとうっすらその会社の名前がまだ読み取れる。マニュアルミッションの車を運転できるのは車内の配送員でも限られているので、平成の、そしてもうすぐその次の年号になるこのご時世に、週に二三度、私はマニュアルミッションの車を運転している。「マニュアル」という言葉の響きはなんだか堅苦しくて好きになれない。しかし「手仕事」と言い換えるととたんに柔らかくなるから面白い。オートマチック車を運転しているときよりも、車と私との距離が近い気がする。私は京都東インターチェンジ近くのファミリーマートの大きな駐車場の端の方に「相棒」を停めてお弁当を食べた。今日のメインは八宝菜だった。白御飯は食べない。もうた分三年ぐらい前から私は昼食に白御飯は食べないようにしている。いわゆる「低インシュリンダイエット」というやつだ。私のベスト体重は62キロ、だと自分では考えているのだけれど、その3キロオーバー、65キロをこの一年ぐらいキープしている。今年の夏までにはぜひ、この三キロを落とそうと考えている。私は運転席でなるべく時間をかけて弁当を食べた。保冷車はキャビンが狭く、シートも後ろに倒せいないし、シフトレバーが邪魔で足も伸ばせない。私が自動車運転免許を取ったのは十八歳の時だ。運良く推薦入試で大学にすべり込めた私は入学までの二月三月の間、運転免許教習所に通うことができた。費用は親が出してくれた。その四半世紀後の今、車を運転する仕事でまがりなりにも一家の収入の少なくない部分を担っているのだから、これは幸運というか、「あの時、推薦入試の勉強を頑張って良かった」ということも言えるだろう。人生どこでどう繋がるか分からない。何か新しい資格をとってみるのも悪くないかもしれないなぁ…。などとぼんやり考えながら弁当を食べた。

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