あうん

セブンイレブンの駐車場には自動車が一台しか停まっていなかった。私は右ウインカーを出してハンドルを切り、入口の自動ドアに一番近い駐車スペースに軽自動車を停めた。車を降りコンビニエンスストアの中に入ると手前のレジの前に一人、男の人が立っていた。その男のカウンターを挟んだ向こうでは「いつもの」おばさんが商品をビニール袋に詰めている。この店にレジは二つ(忙しい時には三つにできるような作りになっている)あるが、今朝は奥の方には店員がついていなかった。近鉄の駅が近いこの店ではこの時間でも必ず二人は(多い時には三人ぐらい)店員が勤務している。七時過ぎからのピーク時には通勤前に朝ご飯を買っていくお客が次から次へとやって来るのをせっせとさばいていくのだ。午前六時五十分。お客のピークまでにはまだ時間があった。とはいえ忙しくなる前に片付けなければならない仕事も有るだろう。きっともう一人の店員は運び込まれたばかりのパンやおにぎりの検品をしているに違いない。私は手前のレジの男の後ろに並んだ。ほどなくパンとおにぎりの入った袋を持ってその男は立ち去り、私は財布を開きながら一歩前に進んだ。おばさんはその私の一歩と同時に右手をレジスターの下に伸ばした。
「コーヒー下さい」
私が言うのと同時におばさんはMサイズのコーヒー用紙コップを台の上に置いた。
「ありがとうございます」
おばさんが言うのと同時に私は百円玉をトレイに置いた。

この毎朝の阿吽の呼吸を、密かに私は気に入っている。彼女もそうだといいのだけれど…。

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