ビールの美味しい季節

私は自動販売機に百円玉を二枚入れた。女性の声で
「免許証を差し込むか、インターフォンを押してください」
と返事が返って来た。財布から免許証をわざわざ出す手間を考えるとインターフォンを押した方が早い。どうせインターフォンを押した所で酒屋の店主と繋がるわけではなくて、それは一種のアリバイであって、その「インターフォン(という名前の、別にどこにも繋がらないボタン)」を押すとビールが買えるシステムになっているのだ。
「ピンポーン」という音に続いて同じ女性の声がする。
「お金を入れて商品をお選びください」
私は190円の発泡酒のボタンを押した。「ピッ」ととても小さい音に続いて「ガタンガタン」と大きな音を立て、クリアアサヒ500mlが商品受けに落ちきた。「ビールが美味しい季節になってきましたね」なんて言いながら、飲んでいるのは毎日発泡酒である。

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