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ゴールデン○○

母の日のプレゼントにと妻が持たせてくれた「ごまハチミツ」を、母は気に入ってくれたようだ。昨日の朝はヨーグルトに入れてみたりしていたけれど、すこし固めのハチミツはヨーグルトとうまく混ざらず、今朝はスプーンですくったそれをリッツのクラッカーにたっぷり塗り付けてつけて「やっぱりこれやなぁ」と満足そうに食べている。実家に帰って二日目の朝。テーブルには朝食にしては豪勢なお皿が並んでいた。トースト、サラダ、コーンスープ、焼豚、イチゴ、コーヒー…。テーブルの端には私の読みかけの本がおいてあった。
「この絵なんか怖い」
先に食べ終わった娘がイヤそうに言った。確かに随分と怖い絵だと私も思った。二日前に図書館で借りてきたその本はこのゴールデンウィークの私の「エース」だ。予約を入れたのが去年の秋だか夏だか。それすら思い出せないぐらい前で、私よりも前に三桁以上の人の予約が入っていた。抱えている台本用の資料だとか、現在進行形の事件についての本などを除けば、私が一刻を急いで読まなければならない本などない。そんな風に「先の楽しみ」として図書館に予約してある本が何冊もあるのだけれど、何故だかその子たちは固まってやってくる。村上春樹「騎士団長殺し第二部」と塩田武士「罪の声」が用意できたからとりにくるべし、と図書館からメールが来たのは今週の月曜日だった。騎士団長…も半年、あるいはもっと前に予約を入れてた本だ。海老フライとハンバーグが一緒に来たみたいで嬉しいのだけれど、どっちもゆっくり読みたいのに…と、ちょっと贅沢な文句を言いたくもなる。ただ実際には村上春樹はいつも通りあっというまに読み切って、昨夜「罪の声」に手をかけた。プロローグと第一章だけ読んで、読み進めるのを自重した。ゴールデンウィークはまだ二日あるのだから。今朝テーブルに乗っていたのはその読みかけの方。
「怖いお話なん?」
と娘が聞いた。本の表紙は、色彩が乏しく全体的にくすんだベージュで画面の左右に二人の人物が描かれている。二人は向かい合っていてそれを真横から見た構図になっている。右手はマネキンみたいに表情のない子供。その子供が少し見上げるようにしている左手の人物は髑髏だった。
「最初しか読んでないからわかんないわ」
「どんなお話?」
サワリを読んだだけだが、噂に違わずおもしろそうだったので、私は聞いて来た娘にというより、父母に聞かせつつもりで話した。
「お父ちゃんのちいちゃい頃、グリコ森永事件っていうのがあってな。グリコって知ってるやろ?…」
プロローグ辺りの話をすると、さっそく父はくいついて「なんて言う本?」と言いながら手帳を探した。勿論娘には全く分からない話だけれど「誘拐」という言葉の意味ぐらいは分かっている。「名探偵コナン」は彼女の愛読書だ。ウンウンと生意気に何度か頷いた後、急に何かに気がついた様子で大きな声を出した。
「あ、そうか!」
「ん?どうした?」
娘は「万歳」する形で左右の手を高くあげた。
「その社長さんが、誘拐されて、こうやって、両手を縛り付けられて、殺されて、だから、グリコのマークってああなったん?」
朝から大笑いしてしまった。とても不謹慎な話だけれど。

午前九時には、父に地下鉄の駅まで送ってもらい娘と二人で新京極に出た。元ポルノ映画館をリノベーションした古着屋と、元、普通の映画館をリノベーションした古着屋をハシゴした。ポルノ映画館は一度ぐらいしか足を踏み入れたことはないが「普通」の方は高校時代何度も学校をさぼって見に行った映画館だ。同級生の(確か)おじいさんが裏口の警備員をしていて、こっそり只でいれてくれたのだ。その四半世紀後に私は娘といっしょに、並んだ古着のハンガーを外しては値札を睨んでいた。私たちは実家での豪勢な料理に食傷気味の胃袋を休めるように昼飯はうどんで済ませ、その後、僕の高校時代には勿論なかった、バカみたいに沢山スクリーンのある映画館に行った。娘は「名探偵コナン」を見たいと言った。僕は「嫌だ」と言った。意地悪で「一人で見て来たら?」と言ったら、娘は少し悩んでから「そうする」と言った。
結局14時40分からの二時間弱、彼女は一人で映画を見て、僕はロビーで小説を読んだ。

時の経つのはあっという間だ。と、改めて思った。

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