FC2ブログ

「エーン!」

私は金麦の350ml缶六本セットを持ってレジへと向かった。全部で八台ぐらいあるレジはその内三つだけが空けられていた。21時のマツヤスーパー。このスーパーは自宅からはバイクで十分ほどかかる場所に有るのだけれど年中無休で23時まで営業しているので私は愛用している。稽古帰りでも空いているのですごく助かるのだ。この時間はお客さんもそれほど多くはなくレジにもほとんど行列ができていない。私は空いているレジをささっと見比べて早そうな所に並んだ。並ぶと言っても私の前に待っているのはおばさんが一人だ。彼女の買い物カゴをみると、冷凍食品がいくつかと牛乳の紙パックが一個入れられているだけだ。「待つ」というほどの物でもない。私はレジの台の端っこの方に金麦をおかせてもらい、リュックのファスナーを開けて財布をさぐった。
並んだレジの店員さんの声がすごく特徴的で私の耳に引っかかった。声と言うか言い方が。商品のバーコードを読み込ませるときに金額と商品の数をコールするのはこの店のルールなのだろう。他のどの店員さんもそうだ。「634円が一点。128円が二点…」と言った具合に。今夜の店員さんが他の店員さんと違った所はそのイントネーションだ。とてもユニークだった。○○円の「円」と、点数の「点」にアクセントがあってしかも音程が高くなるのだ。また「円」は「えーん」、「点」は「てーん」とやや伸ばして発音する。店員さんは女性で30台前半ぐらいに見えた。胸に「研修中」と書いた名札をつけている。私は稽古のある夜は毎晩のようにこのスーパーに立ち寄るから余計と気になるのかもしれない。彼女の「金額読み上げ節」はこの店の他の誰とも似ていない、いわば彼女オリジナルだった。研修中の身でなかなかここまでしっかり自分のスタイルを持っている人も珍しいのではなかろうか?いやおそらく彼女はここで勤める前に別のスーパーにいて、そこでのオーソドックスな節回しがこういうのだったのだろう。そうに違いない…。勝手な想像をしながら私は財布をリュックから取り出した。

コメントの投稿

非公開コメント

twitter
カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
リンク