スパイス

五階まで階段を上がってくると、玄関のドアが開け放たれている。私たち家族の住む市営団地にエレベーターがついたのは三ヶ月ほど前だが、私たちが日頃使うことはほとんどない。たまに乗ると「便利なもんだなぁ」と感心するけれどこのボロ団地に住み始めてからこれまでの十年間、私たちは来る日も来る日も階段で五階まで上り下りしてきたわけだから、その習性というのはなかなか抜けるものではない。おかげで娘は足腰強く育ち、ちょっとやそっとの外出では「しんどい」とか「疲れた」などと言いいだすこともなく、その点私たち夫婦は大いに助かったものだ。

本当のことを言うと、私は今日は少し悩んだ。エレベーターを使うべきか階段を上るべきか?
今日、私と妻と娘の三人で「親子ダンスワークショップ」に参加して来たのだ。朝の十時三十分から途中休憩を挟みながらも、京都芸術センターのフリースペースで楽しく、楽しく体を動かした。ワークショップの先生は二年連続でさやか先生だった。場所はフリースペース。去年の制作室7も制作室の中では一等広い面積の部屋なんだけれども、フリースペースはその3倍はある。のびのびと体を動か背的持ちが良かった。
その後もお昼御飯にショッピングに写真展にと、私たちは結構な距離を歩いた。「足が棒」というまではいかないまでも、帰宅するまでの地下鉄の駅から団地までの上り坂は、自転車から降りて歩かないと難しいぐらいには消耗していたのだ。自転車置きに自転車を止め、郵便ポストを覗き、さぁ、私は階段を上がるべきか?エレベーターを使うべきか…?

一階から自宅の五階まで上がる(下がる)という毎日のルーチンに「選択」が入り込んできたことは、ほんのちょっとだけど、日々のスパイスになっているよね、と考えながら私は今日も階段を上がった。

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