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組織犯罪処罰法改正案にまつわる思考

Facebookとtwitterに書いたものだけれど…

まとめ1
多くの人が指摘している通りテロリストは一般人のフリをして市民に紛れているのだから「合意」を見つけるための監視や盗聴は一般市民を対象に行われる。テロリストは一見、ごく普通の夫婦を偽造しているかもしれない。さらに言うと彼らが「京都駅に爆弾仕掛けよか?」「そやな」と通信するわけがない。
彼らは暗号が使うだろう。「高い木を倒せ!」とか。そしてその暗号もまた、より一般的な方が秘匿性が高い。「帰りにスーパーで卵買ってきて」とか。
《未然に》犯罪を防ぐ為に、この時点で警察は判断を迫られる。果たして「卵」とは爆弾のことではないのか?…
原理的にそう言うコントが起こりうる。
《非合法な事柄を合法にする》為に「戦闘」を「武力衝突」と言い換えることが許される世の中で(許してるのは僕ら)
《合法な事柄を非合法にする》為の言葉の言い換えがますます盛んになってもなんの不思議もない。いくら抗議してもその声は魔法の呪文で消える。
「ご指摘にはまったくあたりません」
言葉のことを言っている。
法律は言葉だ。誰かが「文学の最高峰は法律だ」って言ってたけど誰だか忘れた。セリフも言葉だ。(言葉、記号)と、それが指し示す対象、(モノ、コト)との結びつきはそんなに強固ではない。むしろスカスカでフワフワだ。豊臣秀吉もチンパンジーもプロゴルファーも「猿」だ
裁判所では《とある出来事》を指し示すのに「殺人」と言う言葉が良いのか、はたまた「過失致死」と言う方が良いか?と言うような、まるで脚本家みたいなことを弁護士検察官裁判官たちがやっている。そして「殺意」や「計画性」「反省」なんていう目に見えぬ《内心》を推量し認定し、人を裁いている。
言葉では、「言葉と(言葉が指し示している)対象の関係」を十全に説明することができない。国語辞書を引いても、言葉同士で説明し合うループが見つかるだけだ。だから裁判は判例を大切にする。「これまでこの言葉(法律)はそのように解釈されてきた」という既成事実の積み重ねを土台とする。
逆にいうと「言葉と対象」の関係を説明できるのは既成事実だけなのだ。(多分)「今はこういう意味だけれど昔は意味が違っていた」言葉は山ほどある。「ヤバい」なんてのももうどっちの意味だかわからない。「嘘も吐き続けたら本当になる」というのは本当なのだ。
「カラスは白い」何であれ、デタラメな発言したらした分だけ確実に「言葉と対象」の関係は薄まっていく。そうやっていつの間にかみんな「自分が何を話しているのか」わからなくなってしまう。
そういう事態が進行している(今更だけれど)気がしてとても怖い。
「お金」という記号と、「金(ゴールド)」や「交換可能性」という対象との関係が怪しくなるとインフレを起こすように、「何のことを指してるのかわからなく」なったら言葉も紙くずみたいになってしまいます。あっという間に。政治家の言葉が信頼できないから政治から興味も離れる。これは思う壺。
そして「怖い」と書いたのは、「政治の言葉だけ」インフレになるわけじゃないから。日本語は共有財産だ。
政治、インターネット、その他いろんな力が寄り集まって進んできた言葉のインフレが、法律の言葉にも拡まり、やがては私たちの日常の言葉も完全に飲み込まれるのではないか?
隣の奥さんが言う「卵」の意味がわからなくなる日が来るんだろうか。既に多くの人が「暗号の海」の中にいて、自分が使える暗号を、同じくそれを使える仲間とだけ交信してサバイブしている。
俳優に何ができる?
せめて「卵」と言うセリフに「スーパーで10個パックで売ってる丸いの」内容を乗せる
ちゃんとセリフを喋ること。言葉と内容。記号と対象。何度も台本を読んで、何度も声に出す。
ことここに及んで、俳優の作業というのは「ちゃんとする」だけで実に尊いのではないかと思い始めている。
あほか。

まとめ2

とは言え、2020年東京五輪でのテロを画策している、又は可能性を検討している、又はテロの候補地に東京、日本をリストアップしている集団が世界に「全くいない」と考えるのはさすがに無理があるだろう。普通に想像すると少なく無いグループが実行の可能性を検討してるだろう。(だだ印象です)
五輪まであと三年ということを考えると、現時点で既に実現性の検証、計画の作成、下見の為にメンバーが入国しているグループも複数あるだろう。(印象です)憲法九条いかに美しい文章であっても「九条がテロから日本を救ってくれる」なんでのは度が過ぎた楽観だ。(印象だけです)
「<罪もない人>ですら犠牲にする」のがテロの本懐なのだから、「憲法九条を持つ日本」がその標的にならない道理がない。映画でもマンガでも「卑怯な悪役」はいつも「主人公とは無関係な人」を人質に取る。主人公が「よせ!その人は関係ないだろう!」って叫ぶ。悪役はにやりと笑って「だからさ」という。テンプレートだ。
「東京五輪でテロが起こる可能性」はわからない。でも「東京五輪でテロを行おうかしら?」と思案している集団は確実にいると想像している。(印象です。なんの根拠もありません)で、それでも「共謀罪が要らないか?」という所が分水嶺。本当に心の底から日本で起こるテロを未然に防いで欲しい。本当に。
事前に相談があったケースでの、ストーカー犯罪や、児童虐待の事件(これは警察マターではないが)で、不幸な被害があると私たちは「何故、未然に防げなかったのか!?」と気色ばんで憤ってみせる。非難する。その度に警察官(や児童相談所の職員)は唇を噛む。
その九割は「何故、防げなかった」という自責の念だろう。でも一割は「阿呆言え!わしらどれだけ未然に防いでると思ってんねん!」という、自分たちの極めて難しく、且つ<最も価値がある仕事>を評価されないという無念だろう。警察は、警察官は未然に防ぎたいのだ。
そして事実彼らは日々「未然に防いでいる」。例えば日課のパトロールをやめた時にその事ははっきりするだろう。しかしそれは「統計」としてなのだ。個別具体的な犯罪が防げたのかどうかは、「未然」であるのだから原理的にわからない。「未然」に防ぐ事が一番価値があるにもかかわらず、それは数値化されない。
「○山×男が行うはずであった犯罪」を食い止められたのかは言明できない。
「堤防を通常の水かさよりも2メーター高くする工事をした。二週間後に大雨が降って川の水かさが1メーター増したけど洪水しなかった」という事例とは訳が違うのだ。
警察は犯罪を未然に防ぎたい。私も未然に防いで欲しい。テロとなったらなおさらだ。フィクションの中の「現行の法が裁けない悪を制裁する」タイプのダークヒーローの活躍にいつだって僕らは溜飲を下げる。必殺仕事人、ブラックエンジェルズ、ハングマン(古い!今でいうと何?)に拍手喝采。
つまり組織犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪、共謀罪)は、警察が、「いいがかり」「屁理屈」を考える労力を無くそう。ということで、実はその内容についての賛成派反対派に意見の相違があるわけではない。上っ面どう言おうが正味『テロ等準備罪とはどういうものか」という解釈内容はほぼ同じものだ。
「その他の組織的犯罪集団」「計画」「準備行為」等の言葉が何をさすのか?について大きく意見が分かれて紛糾しているわけではないのだ。そんなもん元からとっくにふやけている。言葉とそれが示している内容との関係は既に「フレキシブル」なのであり互いに上辺でどう言おうがアレは「ああいうもん」。
丸い果物があって、「それはリンゴだ!」「いいやミカンだ!」と言い争っているのではない。「それはリンゴだ」というところでは双方認識が一致している。ただ「リンゴは美味しい」と思っている人と、「リンゴは不味い」と思っている人がいるということ。「テロ等準備罪」の内容のコンセンサスは取れてる。
乱暴に言うと
「テロ等準備罪で私や私に近しい人がパクられるかもしれん」と思う人

「テロ等準備罪で私や私に近しい人に害をなす人がパクれるかもしれん」
と思う人が居る。二元論なら私は前者だ。
二元論なら「いつか私も取り締まられる側になるかも?」という想像力がないのね。と溜飲をさげて、それでおしまい。にしてしまいがち。でも当然二元論じゃない。「そういう不安」と「そういう期待」がそれぞれにある。「自由が権利が損なわれる不安」と「テロを未然に防げるかもしれない期待」
僕は「テロを未然に防いで欲しい」という期待を持ち、同時に「つか、高間君とこやばいやろ」という不安をもっている。沖縄の基地移設に反対している人たちにもシンパシーを感じている。その人たちの事も不安だ。「不安」と「期待」は混じり合って、その双方の重量が天秤にかけられる。
結論からいうと私は「それでも『無し』!断固ない!」と考えている。共謀罪への「不安」が圧勝する。でも日本に住む少なく無い人、ひょっとしたら過半数の人たちの天秤は「期待」に傾いている。つまり「私の盗聴されても、私は何もやましい事はないのだし、それでテロが未然に防げるのならアリ」だと。
結局この案件は「万引きしてないんやったら、ポケットの中身と鞄の中身全部出せ。なんもやましいことがないんやったらできるやろ?」という話だ。飛行機に乗る前に手間でも時間がかかっても身体検査を受けるのと同じように、テロを未然に防ぐ為に払うコストとして組織犯罪処罰法改正案を受け入れる人が居る。
その人を責める事はできない。その人には想像力がないわけじゃない。ただ天秤の調整が僕とは違う。たぶんちょっと。いや「結構」?それこそ内心だから計りようがない。受け入れるどころか歓迎する人たちもいる。正直その人たちの気持ちもわかる。だってテロは未然に防いで欲しい。ほんまに。
日本には「銃刀法」という相当厳しい法律があり、僕らの自由はかなり制約されている。刃渡りがある長さを超えた刃物は無許可で持ってるだけで罪なる。でもそのおかげで例えばアメリカのような「銃乱射事件」は起きにくい。「安全」と「自由」はトレードオフで、どちらもというわけにはいかないのだろう。
「テロを未然に防ぐ」為なら「自分の通信の秘密が侵されて」もかまわない人はいる。沢山いる。僕も実は「田中遊の通信の秘密が侵される」分にはかまわないと思っている。そうとう恥ずかしいけれどそれでテロを未然に防げるのであれば。
僕は国家転覆を計っているわけでもないし「組織的犯罪集団」ともご縁がないし、電話、メール、手紙全部を見られてもパクられる要素がない。自民党も公明党も嫌いだけど「自民公明が嫌い」ってだけでパクられるようなも日本になる!とは思っていない。では何故僕はそれでも「断固反対」なのか?
今日の昼からつぶやいた一連。(まとめ前半)のこと。つまり「言葉と、それが指し示すものとの関係」をさらにとろけさす事になるから。言葉のインフレは「テロへの脆弱性」でもあり、また「テロの目指す成果」ですらあるから。隣人の言葉がなにも信用できなくなる。テロの「恐怖」とはその事だと思うから。
警察も政府も僕も誰も彼も「テロを未然に防ぎたい」と思っている。警察は「あやしいなぁ、あいつやりそうやなぁ」と思いつつも「犯罪行為は未だない」ということで放置せざるおえず、その結果、不幸な犯罪に繋がった苦い経験もある。(その時には「何故未然に防げなかった!?」と責められる)
「だから、調べさせてくれ」と。つまり白か黒かはわからんものは、調べさせてくれ。怪しいものを調べて結果「白」なら良いじゃないか。気分を害したなら菓子折りぐらい持って行って謝るさ。万が一「黒」なら未然に防げる!本当にテロリストだったら…これはデカいよ!
で、午後につぶやいた所に繋がる。(前半まとめ)グレーゾーン=(あやしいいけれど行為がまだないから取り締まれない)所に対して、「調べて、白なのか黒なのか確かめた結果」、さらにグレーな部分が出てくることが、必然的に起こりえるということ。
テロリストは暗号で通信するだろう。怪しいと目星を付けた団体の電話を盗聴していると「よし今夜決行だ!」と聞こえて来たとする。決行されるのが「爆弾テロ」なのか「麻雀大会」なのかはわからない。その時、警察は踏みとどまれるか?…。それは無理でしょう。
結局のところ「難しい事を簡単にする」法改正なのだ。今までもあった「言いがかり的」な別件逮捕や微罪での長期抑留はある。でもそれをする為にはそれなりの「力加減」や「風読み」や「ロジック構築」が必要だった。「その労力を取っ払おう」ということ。
グレーゾーン(怪しいけども犯罪はまだ未遂)を前にして頭を悩ませていた警察が「難しい事を簡単にする」=「頭を使わなくても良く」なり、そして、なのに再び「グレー(「決行だ!」)」に出会った場合、彼らは留まるだろうか?無理でしょう。「考える」ことを一度うっちゃった彼らは留まれない。とりあえずパクるでしょう(印象です)
「グレーゾーンを調べて白黒明らかする」為に導入した法によって明らかになった場所に、残ってしまったグレーゾーンに対して彼らがとるだろう行動はとりあえずパクる。見立てが間違ってて、仮にそれが「麻雀大会」だったとしてもいいじゃないか。「テロではなかった」のだから。
裁判所が違わず判断してくれたらそれでいい。安全マージンをとるに越した事はない。(原発事故時の「とりあえず疎開しろ。とりごし苦労だったならそれでいいじゃないか」と相似形)。「難しく面倒くさく時間の掛かるロスも無駄も多い思索」を一度パスしたら、もう立ち止まれないだろうと思う。
そうすると「<言葉>と<(それが指し示す)内容、対象>との関係」はとろける。「隣の奥さんの言う『卵』」は「一般市民に偽装したテロリストの暗号で爆弾のこと」かもしれない。そんな世界ではもう誰の言う事も信じられない。いや「信じる」以前に、その言葉の意味がわからないのだ。
「組織的犯罪集団」って「窃盗団」とかマフィアみたいに聞こえるけれどもそういう「それまでに罪を犯して来た集団」なのであれば現行法で捕まえる事ができるわけで。つまり共謀罪で「犯罪行為を犯す前に」取り締まられねばならないのは「まだ罪を犯した事のない集団」ですよね。ようは誰でも。
「テロが起こる」のと同等かそれ以上の損害が「組織犯罪処罰法改正案」によって起こるかも知れない。僕は本気でそう思っている。正気です。天秤にかけて、その上で断固反対なのです。言葉(記号)と(それが指し示す)対象、内容との関係が断ち切られることほど、恐ろしく絶望的な事はない。
一俳優としてそう思う。ここ数日のうじゃらうじゃらした雑念を頭から吐き出すことができたので、明日からようやくセリフを入れよう。

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