お別れに向けて

「想像を絶するようなこと」をお客さんに見せたい。だから演出家は俳優にそれを要求する。
「想像を絶するようなこと」を求められたときに僕がするべきことは、
「想像を絶すること」ではなくて「想像をそこまで延長すること」だ。はるかかなたまで。

と、これは単純に僕のエゴだ。それが気持ちよくてお芝居を続けて来たので中々強固な。「こだわり」ほどタチの悪いものはない。それは体に分厚くまとわりつくサビに似て、鎧となって剣や矢を弾き心と体を守ってくれるけれども、そのうち重くなって身動きが取れなくなる。(←イマココ)
執着心は、適当な風通しの良さと、往復運動で「柔らかく」保たいものだ。人に対する執着心もそう。
「すごく好きだけれど、同じぐらい憎んでいた」というセリフは実に陳腐な言い回しだけれども、そうとしか表現できない感情が時にあることを私たちは知っている。(本当に、深い、強い、激しい心の動きは、言葉にするといつも陳腐だ)
「♪ 〜…I love you だけどさよなら〜…」
安物のチューインガムみたいな歌声。

「楽がしたい。楽になりたいだけなんじゃないのか?」
「逃げ出すのか」
その自問は、
「鎧が取り払われる恐怖」
「長らく保護されたことですっかりヒョロく退化した生身が晒されることへの恐れ」の裏返しで、表と裏だからどっちが本当でどちらかが嘘ということではない。

「♪さよならから〜、始まることが…」
うん。こっちの方がうんと良い。

お別れをして、そしたらまた、しばらくしたら、なんでもない顔して、別の人みたいに。ばったり出会うのかもしれない。そうだといいなぁ。

しかし怖いなー。おっかないなー。やるしかないのはわかってるんだけどできるのかなぁ?
わはは。
笑とけ。



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